私たちは日々、卸売と小売のビジネスモデルに関わっています。しかし、この2つを混同してしまうことは珍しくありません。それぞれどのような仕組みで機能しているか。自分に最適なECビジネスモデルとは何か。そして、両者を組み合わせて最良の結果を得ることは可能なのでしょうか。
ビジネスで成功するには、卸売と小売の違いを理解することが不可欠です。
この記事では、この2つのモデルについて知っておくべきすべてを解説します。卸売と小売を比較し、主な違いを明らかにし、自社に最適なバランスを見つけるためのガイドを提供していきます。
卸売と小売の違いとは
卸売とは、割引価格で大量の商品を他の企業に販売することです。小売とは、小売価格で商品を消費者に直接販売することを指します。
卸売と小売の違いを説明する別の方法として、ビジネス用語の「企業間取引(B2B)」と「企業対消費者取引(B2C)」を使うこともできます。
- 卸売業者はB2B:他の企業に販売
- 小売業者はB2C:個人消費者に販売
卸売の仕組み
卸売とは、メーカーや流通業者から大量の商品を購入し、倉庫に保管した後、小売業者に利益を上乗せして転売するビジネスです。
卸売業者は一度に膨大な量の在庫を低価格で購入し、それを少量ずつ高い価格で販売します。たとえば、卸売業者がこのメーカーから1本200円で1,000本のウォーターボトルを購入したとしましょう。総額は200,000円です。
その後、卸売業者は20の異なる小売業者に50本ずつ、1本600円(当初の購入価格の3倍)で販売できます。倉庫保管や配送などの経費を差し引いた後、利益が残る仕組みです。
つまり、卸売業者は次のような特徴があります。
- メーカーや流通業者から低コストで大量に商品を購入
- 商品の最終ユーザーには直接販売しない
- これらの商品を他の企業に少量ずつ、購入価格より高い価格で転売
小売の仕組み
小売業者は、卸売業者、メーカー、または流通業者から商品を大量に購入し、最終ユーザーに販売します。サプライチェーンの最終段階に位置するビジネスです。
つまり、消費者として自分用に何かを購入するときは、常に小売業者から購入していることになります。食料品店、ホームセンター、衣料品店などがこれに該当します。さらに、小売業者は通常、商品を個別に販売しています。
たとえば、小売業者が卸売業者から1個2,000円で100個の時計を購入し、消費者に1個5,500円で販売するといった具合です。
簡潔に言えば、小売業者は次のような特徴があります。
- 流通業者や卸売業者から商品を大量に購入
- 最終ユーザーに商品を個別にマーケティング・販売
- 顧客体験を完全にコントロール
卸売と小売の比較
| 卸売 | 小売 | |
|---|---|---|
| ターゲット層 | 企業 | 消費者 |
| 購買プロセス | 長期的で複数の関係者が関与 | 短期的で1〜2人の意思決定者が関与 |
| 価格設定 | 単価が低い:利益率は約15〜30% | 単価が高い:卸売価格の約30〜50%の利益 |
| 取引量 | 定期的な大量注文 | 単品商品 |
| 在庫保管 | 安全性と大量積み下ろしに重点を置いた大型倉庫 | 小売バックヤードと店内陳列棚 |
| 商品ラインナップ | 少ない商品を大量に | 多くの商品を少量ずつ |
| 運営コスト | 物流とフルフィルメント | ECのあらゆる側面:配送・フルフィルメント、カスタマーサービス、マーケティングなど |
| フルフィルメントと配送 | 大型梱包のため配送料が高い | 迅速で手頃な配送 |
| 立地 | 交通拠点の近く(空港や高速道路など) | 繁華街やショッピングモール |
| 支払条件 | 請求書払いと与信審査 | 即時決済 |
ターゲット層
卸売の顧客は、企業を代表して商品を購入します。通常は店舗で高いマークアップを付けて転売するためです。卸売ビジネスのターゲット層は非常に似通っている傾向があり、商品担当者、バイヤー、店舗マネージャーなどが該当します。彼らの目標は、購入した在庫を転売して利益を上げることです。
一方、小売ブランドは最終顧客に販売します。彼らの課題や購入動機は、特に商品に複数の用途がある場合、大きく異なる可能性があります。
スキンケア商品を販売する2つのブランドを例に見てみましょう。卸売顧客は利益を上げられる高品質な商品を確保したいと考えますが、小売顧客はニキビを最小限に抑え、肌の保湿を改善したいと考えています。
購買プロセス
卸売の購買プロセスはより正式なものです。取引には契約、継続的な交渉、発注書が含まれます。交換される商品の量と価値が高いため、明確な条件、価格、配送スケジュール、支払条件の設定がより重視されます。平均的なB2B購買決定には8人の関係者が関与しています。
小売の購入はよりシンプルです。顧客は、オンラインでも実店舗でも、欲しいものを選んで支払いを済ませます。通常、意思決定者は1人だけ(誰かと共有する場合は2人)です。重点は、Shop Pay(英語)のような好みの方法で支払える、スピードと利便性にあります。
価格設定と利益率
卸売と小売のビジネスはどちらも、ある価格で商品を購入し、それより高い価格で販売することで利益を得ます。これを「マークアップ」と呼びます。
マークアップは、経費を賄い利益を生み出すために原価に追加されます。商取引のサプライチェーンの各段階で商品のコストが上昇します。これが「キーストーンマークアップ」と呼ばれるもので、商品に50%のマークアップが付けられることを意味します。つまり、商品は購入時の2倍の価格になるということです。
多くの企業がこの戦略を卸売と小売の価格戦略のベースラインとして使用していますが、厳格なルールがあるわけではありません。一般的には次のようになります。
- 卸売業者の利益率は15〜30%
- 小売業者は卸売価格に30〜50%のマークアップを追加
取引量
卸売業者は、少ない取引で大量の商品を扱い、それぞれが高額になります。彼らは、少数の定期顧客に対して、物流、倉庫保管、保管を効率的に管理することに特化しています。各取引の価値が高いため、主要顧客を失うことは大きな課題となり得ます。
一方、小売業者は、より小規模で個別化された取引を専門としています。取引あたりの価値は低いものの、累積価値は大きくなります。迅速な在庫回転とスムーズな顧客体験には、効率的な在庫管理とPOS(販売時点情報管理)システムが必要です。
顧客基盤が非常に広いため、サプライチェーンの混乱は多くの個別販売に影響を与える可能性があります。
💡プロのヒント:卸売でも小売でも、Shopifyのコマースオペレーティングプラットフォームで在庫データを管理しましょう。すべてのデータに対して単一の信頼できる情報源を持つことで、在庫切れを防ぎ、より賢明なビジネス上の意思決定が可能になります。
在庫保管と倉庫管理
ほとんどの卸売業者は、大量の在庫を保管する巨大な倉庫を持っています。施設は効率的な保管、容易な大量積み下ろし、最適化された物流フローを優先します。重点は美観よりも機能性、安全性、容量管理に置かれています。
小売業者の場合、保管はバックルームとストックルームに分かれています。卸売倉庫よりは小さいものの、ストックルームは店頭の在庫を迅速に補充できるように設計されています。店頭の棚やラック収納は、プレゼンテーションとアクセシビリティに重点を置いています。
商品ラインナップ
卸売業者は通常、商品の種類は少ないものの、大量に在庫を持っています。小売業者や他の企業に特定の商品を大量に供給することに重点を置いています。
小売業者は、消費者の多様な好みに応えるため、より幅広い商品を扱います。季節のトレンド、顧客のフィードバック、市場調査が在庫に影響を与えます。
消費者の購買プロセスの最終地点であるため、個々の好みやニーズに応えるために多様な品揃えを提供する必要があります。その結果、複数のブランド、スタイル、色、サイズ、フレーバーを取り揃えることが多くなります。
運営コスト
卸売は、追跡や心配すべき経費が少なくなります。大口顧客を持ち、収入の大部分がリピートビジネスから来るため、倉庫保管、配送、フルフィルメントに集中する必要があります。
しかし、小売業者はマーケティング、ブランディング、販売、カスタマーサービスに最も注力する必要があります。卸売と小売のビジネスはどちらも、在庫、キャッシュフロー、スタッフの管理などに時間を費やす必要があります。
注文フルフィルメントと配送
卸売顧客は商品を大量に購入するため、B2Bで販売する場合は在庫を保管するための大きな倉庫スペースが必要になります。これは配送上の課題も提示します。
多くの配送業者は、寸法と重量に基づいて配送料を計算します。利益率を守るために、これらの費用を卸売顧客に転嫁する必要があるかもしれません。
一方、小売業者ははるかに少量(おそらく一度に1つか2つ)で商品を発送します。これにより、配送は年間事業費のより小さな部分になります。送料無料のインセンティブを相殺するために、配送コストを商品価格に組み込むこともできます。
在庫保管に関しては、在庫レベルのバランスを取っている限り、小売業者として在庫を保管するためのスペースはそれほど必要ありません。1日平均15件の販売がある場合、一度に数千個を購入する卸売顧客にサービスを提供するための2,000個ではなく、500個だけを在庫する必要があるかもしれません。
立地
立地は、卸売と小売のビジネスにとって非常に重要ですが、その理由はまったく異なります。
小売業者は、繁華街やショッピングモールなど、消費者が最も多くの時間を過ごす場所にいる必要があります。これらの立地は、需要が高いため、通常1平方フィートあたり非常に高額です。
卸売業者のニーズは異なります。このビジネスモデルには、大量の商品を保管するための大きな保管スペースが必要です。さらに、配送コストは卸売業者が抱える最大の経費の1つです。このため、高速道路の大きな交差点の近く、空港の近く、または配送戦略に適した場所に位置することが役立ちます。
支払条件
支払構造は卸売と小売で異なります。卸売業者は延長支払条件と請求書ベースの請求を提供する傾向がありますが、小売業者はチェックアウト時の即時取引に重点を置いています。
卸売業者の支払いとして見られる一般的なアプローチには次のようなものがあります。
- 請求書払いで、企業は配送後に支払い
- 未払いリスクを軽減するための与信審査と取引参照
- 早期支払いに対する小額の割引
- より良い価格設定や延長された支払期限などの数量ベースの条件
小売のアプローチには次のようなものがあります。
- 顧客はクレジットカードやデジタルウォレットを使用して購入時に支払い
- 高額商品向けの後払いオプション
Shopifyペイメントは、Shopify独自の決済システムで、店舗オーナーが別の決済サービスを設定することなく、自分の店舗でB2BとB2Cの支払いオプションを直接受け入れることができます。
ビジネスの所在地に応じて、顧客は主要なクレジットカード、デジタルウォレット(Apple Pay、Google Pay、Shop Payなど)、および特定の国で人気のある支払い方法で支払うことができます。
卸売が最適なケース
強力な関係構築スキルがある
卸売の成功は、強固なビジネス関係の構築と維持に大きく依存しています。少数の顧客と密接に協力し、一貫した長期的な収益につながる深いパートナーシップを築くことになります。
ただし、これらの関係には慎重な育成と信頼構築が必要です。主要顧客を1人失うだけでも、ビジネスに大きな影響を与える可能性があるためです。
少数の高額販売を好む
卸売モデルは、多数の小規模販売ではなく、確立されたバイヤーとのより大規模な取引に焦点を当てています。これは、絶え間ない顧客獲得に費やす時間が少なく、運営とフルフィルメントの最適化により多くの時間を費やすことを意味します。
ただし、各販売には細部への注意が必要です。倉庫在庫の監督、顧客注文の管理、卸売商品の流通など、この規模ではミスがコストにつながる可能性があるためです。
プロのヒント:ShopifyのB2B機能は、各卸売顧客に固有のパーソナライズされたアカウントでリテンションを促進します。バイヤーは過去の購入を表示し、クレジットカードを保存し、営業担当者と話す手間なく簡単に新しい在庫を再注文できます。
「顧客は以前、当社のプラットフォームに非常に不満を感じていたため、電話で注文することを好んでいました」と、Dermalogica CanadaのアソシエイトECディレクター、Nicholas Lachhman氏は述べています。
「今では、顧客は体験に非常に満足しており、スマートフォン経由で多くの商品を注文しています。」
より高い安定性を求めている
長期的な関係とリピート注文は、ビジネスに安心感をもたらし、売上と収益の予測可能性を提供します。それでも、リスクを分散させる必要があります。1つの顧客との関係が悪化したり、その顧客が廃業したりすると、一夜にして大きな収益を失う可能性があります。
小売が最適なケース
マーケティングが得意
小売の成功には、優れたマーケティングと顧客エンゲージメントのスキルが必要です。既存の顧客をリピーターにしながら、新しい顧客を一貫して引き付ける必要があります。このモデルは、プロモーション、マーチャンダイジング、顧客体験における創造性を報います。
競争の激しい市場で目立つためには、説得力のあるブランドストーリーを語り、魅力的なショッピング体験を創造する能力が不可欠です。
これにより、ターゲット市場を引き付け、来店客数を増やすマーケティングキャンペーンを試す創造的な自由が得られます。商品を個別に販売することで、アップセル、クロスセル、バンドリングの機会も提供され、収益を最大化できます。
より多くのコントロールを求めている
小売は、顧客がブランドを体験する方法を直接コントロールできます。商品のプレゼンテーションから価格戦略まで、商品の位置付けと販売方法に関するすべての決定を行います。
このコントロールは、カスタマーサービス、店舗環境、マーケティングメッセージにも及び、一貫したブランドアイデンティティを構築し維持できます。
これは商品が販売される場所にも当てはまります。Shopify POSのような優れたPOSシステムを使用すると、小売業者は1つのプラットフォームから複数のチャネル(対面、電話、オンライン)で取引を完了できます。
この統合されたアプローチにより、在庫、顧客データ、取引がチャネル全体で自動的に同期され、顧客がどのように買い物をすることを選択しても、一貫した体験を提供できます。
より高い利益率を求めている
卸売業者は規模の経済に依存しているため、単位あたりの利益は少なくなります。小売ビジネスを卸売業者と同じ数量を販売できる規模に拡大できれば、より高い利益率の恩恵を受けることができます。
卸売と小売の両立は可能か
多くの大企業は、卸売または小売だけに固執していません。多くの企業が、商取引のサプライチェーンのあらゆる側面に参加しています。
すべてを行う企業の3つの例は、Nike、Cartier、Brooklinenです。これらの企業は、自社製品の設計、製造、流通、卸売、小売を行っています。
たとえば、Brooklinenは、オンラインでベッドリネンを販売するD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドとしてスタートしました。長年にわたり、卸売業務に拡大し、現在はホスピタリティ企業に商品を販売しています。
ShopifyのB2Bを使用して、ブランドは卸売バイヤーが小売顧客と同様にオンラインで大量注文できる円滑な体験を作成しました。これにより、1つの統合されたバックエンドから卸売と小売の両方を行い、より多くの売上を獲得できるようになりました。
今すぐShopifyで小売と卸売を販売
卸売販売がオンライン小売業者にとって有利な機会であることは明らかです。卸売業者が量、効率性、優れた顧客関係に焦点を当てることで、成長中および確立されたECブランドにとって優れた販売チャネルになり得ます。
Shopifyは、在庫管理、大量注文の処理、顧客との関係維持のためのツールでB2B販売を合理化します。ECサイトにパスワードで保護された卸売ページを作成し、他の企業に直接販売できます。
または、卸売マーケットプレイスFaireを通じてオンラインで大量販売し、より幅広いオーディエンスにリーチすることもできます。
だからといって、小売販売を完全に諦める必要があるわけではありません。ShopifyではD2Cストアフロントを支える同じ統合プラットフォームでB2B販売を行うことができます。
1つのログイン、1つの在庫システム、1つの顧客プロファイルで、顧客が誰であるか、どのように購入するかに関係なく、オーディエンスの360度のビューが得られます。
「The Conran Shopのような高度な検討を要する提案の場合、ユニファイドコマースにより、顧客はオンラインと店内の体験の間をはるかに円滑に移動できるようになります。以前は完全に分離されていました」と、Shopifyに移行したブランドであるThe Conran Shopのデジタルディレクター、Richard Voyce氏は述べています。同社はコンバージョン率が54%向上し、総所有コストが半減しました。
卸売と小売の違いに関するよくある質問
小売ビジネスに卸売を追加する最良の方法は?
既存のオンラインストアにパスワードで保護された卸売チャネルを作成するか、確立された卸売マーケットプレイスに参加することから始められます。
Shopifyのようなプラットフォームを使用すると、どちらのオプションでも、最小限の技術的なセットアップで小売プレゼンスを維持しながら卸売に拡大できます。
卸売と小売で異なる価格設定を処理する方法は?
最新のコマースプラットフォームでは、異なる顧客グループ向けにカスタム価格リストを作成できます。たとえば、Shopifyでは、ログインした卸売顧客にのみ表示される卸売価格を設定でき、小売顧客には通常の価格が表示されます。これにより、チャネル全体で価格の一貫性を維持できます。
卸売と小売のパフォーマンスを個別に測定できますか?
ほとんどのコマースプラットフォームは、卸売と小売のパフォーマンスを個別に分析するツールを提供しています。
平均注文額、顧客獲得コスト、両方のビジネスモデルにわたる利益率などの主要指標を追跡できるソリューションを探しましょう。たとえば、Shopifyのレポートツールは、このレベルの詳細な分析を提供します。
卸売と小売、どちらで購入する方が良いですか?
卸売での購入は、大量購入により単価が低くなります。大量に必要な企業や個人に適しています。小売での購入は、少量で購入できる柔軟性があり、多くの場合、より幅広い商品の選択肢がありますが、通常は単価が高くなります。
コストコは小売業者ですか、それとも卸売業者ですか?
コストコは主に小売業者であり、多数の店舗で最終消費者に直接膨大な種類の商品を提供しています。コストコは多くの商品で卸売のような価格を持っていますが、卸売ビジネスモデルでは運営していません。
小売業者と卸売業者、どちらが良いですか?
小売と卸売にはそれぞれ長所と短所があります。顧客体験のコントロール、マーケティングの自由、より高い利益を求める場合は、小売が最適な傾向があります。安定性、関係構築、大量注文がより優先される場合は、卸売を検討してみましょう。
卸売価格と小売価格の違いは何ですか?
卸売価格の利益率は15〜30%で、大量販売時には積み上がります。推奨小売価格は、この数字の約2.5倍です。
卸売と小売の間のマージンは?
卸売業者は、他の企業に商品を販売する際、通常15%から30%の利益を上げます。この数字は、顧客に直接販売する小売業者の方が高く、卸売価格の約20%から50%になります。




