ECサイトを運営するエンタープライズ企業の中には、複数チャネルの管理や運用コスト、開発負荷に課題を感じている企業も少なくありません。こうした課題を解決する選択肢として、Shopify(ショッピファイ)に移行する企業が増えています。Shopifyは、コスト削減や運用の効率化に加えて、一貫した顧客体験やスピーディーなグローバル展開を実現し、事業成長を支えるコマース基盤として高い評価を受けています。
本記事では、エンタープライズ企業がShopifyに移行する4つの理由を解説します。システムの見直しを検討している企業や、既存プラットフォームの運用に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

エンタープライズ企業がShopifyへ移行する4つの理由
1. ユニファイドコマースが実現できる
Shopifyがエンタープライズ企業から選ばれる理由の一つは、ユニファイドコマースを実現できることです。近年、EC事業ではオムニチャネル戦略を推進する企業が増えていますが、実際にはECサイト、B2Bシステム、実店舗(POS)が別々のシステムで運用されているケースが少なくありません。その結果、在庫情報や顧客データが分散し、オンラインとオフラインで一貫した顧客体験を提供できないという課題が発生しています。
こうした課題が発生すると、たとえば、店舗ではVIP顧客であるにもかかわらず、ECサイトでは顧客データが共有されていないことから新規顧客として扱ってしまうといったケースも起こりえます。ほかにも、チャネルごとに在庫情報が異なることで、欠品や過剰在庫が発生するケースも少なくありません。
Shopifyでは、すべての販売チャネルを一つのプラットフォームに統合し、顧客データや在庫情報を一元管理できます。こうした仕組みにより、「店舗での購買履歴をECサイトのマイページで確認する」「店舗で在庫切れだった商品をECから配送する」「ECサイトで購入した商品を店舗で受け取る」といった、チャネルを横断したシームレスな顧客体験を提供できます。
たとえば、フラワーブランドのVenus et Fleur(ヴィーナス・エ・フルール)社は、Shopifyを導入し販売チャネルを単一のプラットフォームに統合しました。その結果、店舗スタッフがECサイトでの顧客の閲覧履歴をもとにパーソナライズされた商品提案ができるようになり、顧客ロイヤルティや顧客生涯価値(LTV)の向上につなげています。
2. EC運営を効率化できる
Shopifyは、ECサイトの構築や運用から事業拡大までを効率化できるプラットフォームです。直感的な管理画面と柔軟なアーキテクチャにより、サイト改善や機能追加をスピーディーに実行できます。
従来のエンタープライズ向けプラットフォームでは「開発工数が多く施策の実行に時間がかかる」「開発リソースをプラットフォームの維持管理やセキュリティ対応に費やさざるを得ない」といった課題を抱えていました。Shopifyを使うことでこうした問題を解決し、本来注力すべき事業成長や顧客体験の向上に集中できるようになります。
たとえば、The Conran Shop(ザ・コンランショップ)は、Adobe Commerce(アドビ・コマース)からShopifyへ移行したことで、テストと改善をより迅速に繰り返せるようになりました。以前はプロジェクトごとに数か月分の開発工数が必要でしたが、現在では新しい施策を短期間で実行できるようになっています。
さらに、海外展開においてもShopifyなら運営負荷を大幅に削減できます。Shopify Markets(ショッピファイマーケット)を使うことで、多言語対応や価格設定、通貨管理などが単一の管理画面で一元管理できるため、複数市場の運営を効率化しながら、短期間でのグローバル展開が可能になります。
ホームグッズブランドのRuggable(ラガブル)は、Shopify Markets導入後、1か月未満で新しい市場を立ち上げています。「手動での価格設定や為替レートの追跡について心配する必要がなくなった」と、その効果を実感しています。
3. 継続的なイノベーションを活用できる
EC市場は、AIの進化や新しい販売チャネルの登場など、常に変化し続けています。こうした変化に対応し続けるには、継続的な開発投資が欠かせません。
Shopifyは、eコマース事業に特化したプラットフォームであり、2024年には14億ドルを研究開発に投資しました。この投資によって生み出された新機能や製品アップデートは、Shopifyを利用するすべての事業者に追加コストなしで提供されます。新機能は半年おきにShopify Editionsで発表されます。
たとえば、AIを活用した新機能であるセマンティック検索は、顧客が「冬向けの暖かい服」といった曖昧な言葉で検索しても、AIが意図を汲み取って最適な商品を提案できます。また、AIアシスタント機能のSidekick(サイドキック)や、コンテンツ自動生成機能のShopify Magic(ショッピファイマジック)など、運用業務を効率化できるAI機能も提供されています。
こうした継続的なイノベーションにより、企業は自社で大規模な開発投資を行うことなく、常に最新のeコマース機能を利用できます。変化する顧客ニーズや市場環境に迅速に対応できるため、長期的な競争力の維持や向上につながります。
4. 投資対効果(ROI)が高い
Shopifyは、売上向上とコスト削減の両面から投資対効果(ROI)の改善をサポートしています。
売上向上
第三者機関によるShopify Checkout(チェックアウト)のコンバージョン率に関する調査(英語)では、Shopifyのチェックアウトは競合他社に比べて平均15%、最大で36%高いコンバージョン率を達成していることが明らかになっています。これは、世界数百万のストアから得られる膨大なデータに基づき、決済プロセスが継続的に最適化されているためです。たとえば、年間GMV(流通取引総額)が50億円のビジネスであれば、平均15%の改善でも約7.5億円の売上向上につながる可能性があります。
コスト削減
大手コンサルティング会社の調査(英語)では、Shopifyの総所有コスト(TCO)は、競合と比較して平均で33%優れているという結果が出ています。TCOは、目に見えるライセンス費用だけでなく、導入費用、プラットフォームの保守運用費用、人件費など、すべてを含んだ総合的なコストです。Shopifyは、SaaSモデルであるためインフラ管理が不要なことに加え、標準機能が充実しており開発や運用を効率化できるため、保守や運用にかかるコストを抑えられます。
たとえば、Daniel Wellington(ダニエル・ウェリントン)では、CommercetoolsからShopifyへ移行したことで、プラットフォームのライセンス費用を50%削減することに成功しています。さらに、技術的負債の削減にも大きくつながりました。
まとめ
エンタープライズ企業がShopifyへ移行する背景には、ユニファイドコマースによるデータの一元管理、運用の効率化、継続的なイノベーション、そして高い投資対効果があります。Shopifyは単なるECプラットフォームではなく、EC、B2B、POSなど複数の販売チャネルを統合し、変化の激しい市場環境に対応するための基盤となります。
既存システムの運用負荷や開発コストに課題を感じている企業にとって、Shopifyへの移行は、業務効率化と売上向上の両立を実現する有力な選択肢となります。無料トライアルも実施しているので、自社の要件に適しているか実際に試しながら検討してみるとよいでしょう。
エンタープライズ企業のShopify移行に関するよくある質問
Shopifyへの移行にかかる期間は?
Shopifyへの移行にかかる期間は、サイト規模やシステム構成によって異なりますが、多くのECサイトは約3か月以内に移行しています。
Shopifyへ移行するタイミングは?
Shopifyへの移行するタイミングは、既存プラットフォームの保守運用コストが増加している場合や、新しい機能の追加に時間がかかる場合、海外展開やB2B販売の強化を予定している場合などがおすすめです。
Shopifyへの移行時に既存顧客データや注文データは引き継ぎできる?
Shopifyへの移行時に既存顧客データや注文データは引き継ぎできます。加えて、ストアクレジットやブログなども移行可能です。




